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さっきよりは幾分抑えた声で、陽介さんが僕の顔を覗き込んだ。
「大丈夫ですか? 慎さん」
「ああ……はい。心配かけてすみません」
「すまなかったね。そんなに脅かすつもりはなかったんだよ」
「おい、そこから一歩も近づくなっつったよな」
すぐさま威嚇を始める陽介さんの頭に手を置いて、一定の距離から近づくなと言われているらしい梶さんを見上げた。
両手を上げて、降参のポーズを取る彼は、こうしてみると二人きりの時に感じたような恐怖は微塵も感じない。
「悪かったよ。ゲイじゃないとは聞いていたけど、世間向けの嘘だといいなと思ってつい」
どうやら、彼が聞いた『どっち』は男か女、ではなくゲイかノーマルか、という意味だったようだ。
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