例えるなら、水のような-2

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ともあれ、陽介さんに威嚇されながらもこの場に留まっていたのだ。 悪いことをしたと思っているのは本当のことらしい。 「まあ、大したことはなさそうでよかったよ、お大事に。今度来る時は、何かお詫びのしるしでも持ってくるよ」 そう言ってにこやかに店を出て行く背中に、陽介さんの「二度とくんな!」という罵声がぶつけられたが、とてもそれが梶さんに堪えたような気はしない。 流石にもう来ないだろう、と思っていたため「は?」と間抜けな声が漏れただけであんぐりと口を開けて見送ってしまった。 どっと疲れを感じて、ソファに腰を下ろしたまま前傾姿勢で項垂れる。 はー……と深く息を吐き出したら急速に身体の力が抜けて、そのことで今まで自分がまだ緊張していたのだと知らされた。 「慎さん、大丈夫ですか」 「ああ……うん。大丈夫……です」 少し距離を保った状態で陽介さんが突っ立っていて、礼を言わなければならないのはわかっているけど、今は気力がない。
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