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「ちょっ……、梶さん?」
閉まるはずだった扉は、大きく隙間を開けたままびくとも動かなかった。
梶さんの両手がいともたやすくそれを阻んで、少しも閉じさせてはくれない。
あ、と声を出す暇もなかった。
大きく押し開けられた弾みに、足がたたらを踏んで真後ろに倒れそうになる。
まず……っ!
何かを掴もうと手を伸ばしたが空を切るばかりで、一瞬で視界から梶さんが消え天井の照明が目に映る。
背中に衝撃を受ける覚悟をして、ぎゅっと強く目を閉じたその瞬間、腕を掴まれ腰を引き寄せられた。
「悪かった、そんなに乱暴に開けたつもりはなかったんだが」
気付いた時には、梶さんの腕の中に居た。
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