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冷静に考えれば、梶さんの言葉が何を差していたのかこれだけではわからなかった。
ゲイかノーマルか、のどっちかを確かめようとしていたのかもしれない。
だけど、焦った僕は思い込んでしまったのだ。
男か女か、君はどっちだ、と、尋ねられている気がしてしまった。
身体のラインを辿ろうとしている男の手が、触れて確かめようとしているのだと。
そう思うと、途端震えだした身体を抑えることはできなかった。
「離せ!」
「おっと」
顎を狙った利き手は呆気なく手首を捉えられる。
もう片腕の肘を振り上げたが、やっぱり首を仰け反らせて躱された。
「そんなに暴れることはないだろう」
焦りと混乱だけが増す中で、嫌に落ち着いたその声が、怖い。
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