例えるなら、水のような-2

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「触んなっ!」 「うわっ!」 しっちゃかめっちゃかに腕を振り回して、漸く鼻っ柱を掠めたのか梶さんの手が緩む。 その隙に思い切り突き飛ばして、梶さんがどうなったかまでは見届けていない。 外に逃げ出そうと振り返った瞬間、急速に方向転換したのが響いたのか、くらりと立ちくらみがした。 やべ、こんな時に。 最近は馬鹿陽介のおかげで結構食ってたのになんで。 ああ、そういえば……生理が近かったかも、しれない。 ぐらつく視界で、それでもよたついた足で外への扉に近づこうとした、その時。 再びその扉が大きく開かれた。 「慎さんっ? なんかあった……」 「うわっ」 もう随分聞き慣れた声が聞こえ、目の前にパーカーの大きなロゴが飛び込んできた。
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