あなたに、触れたい

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例え休みだって、あの店で生活している彼は外出でもしてない限りそこにいるはずだ。 訪ねてみようか。 そう考えたけど、今はもう人様の家を訪問するには非常識な時間だ。 思い直して結局家に帰るしかなかった。 翌朝、なんだか妙に目が冴えて朝もいつもより早く目が覚めてしまった俺は、どこかでモーニングでも食べようと早々に家を出る。 朝食のパンが切れていて、今から飯を炊くのも億劫だったからだが、この時、もしもいつも通り家で朝食を食ってたりしたら。 後から起こることを考えると、まじでぞっとする。 駅前の牛丼屋のデカデカと張られた朝定食の広告にも目もくれず、慎さんの店の方へと足を進めた。 近場で食っとく方が、その後もし慎さんが早く起きてくれたりしたらパン屋に並ぶ前にも会えるかもしれないと考えたからだ。 店の近くの路上で目に付いたのは、あちこちに出されているゴミの袋だった。
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