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「慎さんっ? なんかあった……」
「うわっ」
扉を開けて、すぐに目に入ったのは慎さんの少し色素の薄い髪の色だった。
もう少しでぶつかる、というところで互いに驚いた顔を見合わせる。
顔色が、悪い。
慎さんから、もう一人いるはずのない人間へ自然と視線が向く。
……っのオヤジ!
瞬間的に脳が沸騰したみたいに、頭に血が上るのがわかった。
ぎり、と奥歯を噛みしめて一歩進もうとした足を止めたのは、慎さんだった。
「おせぇよ番犬」
「え、すんませ……あ、えっ?!」
急に腕に絡みついてきた身体を、咄嗟に受け止める。
その時の感触に、小さな違和感を確かに覚えたものの、絡みついたまま膝から崩れる慎さんに、それを確かめるどころではなくなった。
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