あなたに、触れたい

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それにしてもなんでこんな男を店に入れることになったのか、慎さんはいつも慎重な印象だったのに。 出入り口辺りの雑然とした様相を思い出して、やはり強引に押し入られたのだろうか。 男は流石にもうこれ以上は何もしてくる様子はなく、ただ何かもの言いたげに此方をじっと見ている。 その目が余りにも不躾で、まるで観察でもされているみたいで。 俺は、腕の中でさっきも感じた違和感がさらに確実なものになっていくことに激しく混乱して、それを顔に出さないことに必死だった。 「早く出てけ」 「わかったわかった、もう帰るよ」
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