あなたに、触れたい

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はあ、と唇から溜息が漏れて、それと合わせて胸が上下する。 だけど目が開く気配はなかった。 「だめだ、やっぱ救急車……」 「落ち着きなさい、もう少し様子を見てからでもいいんじゃないか?」 さっきよりも更に近い、すぐ真後ろで声が聞こえて慌てて振り向く。 これ以上慎さんの無防備な姿を見せてたまるか、と背中に隠すようにして、結局また怒鳴ってしまった。 「近づくなって言ってんだろおっさん! 誰のせいだと思ってんだ!」 「悪かったと思ってるよ、ちょっと強引な自覚はあるけどそんなに怖がるとは」 飄々と言い返すその姿に、ムカムカと腹が立つ。 佑さんが俺にあれほど、怖がらせるな傷つけるなと釘を刺して、俺はそれを忠実に守ってきたつもりだったのに。 全部、この男に台無しにされた気分だ。
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