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「怖いに決まってんだろ、慎さんはなあ! 繊細! なんだよ!」
「そう! 彼のその美しい外見もだけどいかにも繊細そうなその表情がどうしても私の好みドンピシャでね……」
「うるせえお前の好みなんか聞いてねえ!」
この男の呑気な会話のペースにすっかり巻き込まれていた時、慎さんの少し掠れたような、弱々しい声が聞こえた。
「……陽介さん」
「え……あっ!」
振り向くと、慎さんの目がうっすらと開いて慌ててすぐ傍に屈みこむ。
顔色はまだ悪いが、目はしっかりと此方を見ていた。
「慎さん、よかっ……!」
「うるさいです声を抑えて」
開口一番の辛口対応もいつも通りで、心底ほっとした。
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