あなたに、触れたい

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目が覚めた慎さんと男との会話で、どうやらそれほど酷いことはされていないようで内心でそっと息を吐く。 朝のうちに此処に来て正解だった。 会えたらラッキーで、一緒に飯でも食えるかもって下心はあったけど、もしも来なかったらどうなっていたのかと思うと、肝が冷える。 佑さんに出入り禁止にしてもらうべきじゃないだろうか。 俺が口を出すことじゃないんだろうけど、番犬として意見くらいはしてもいいだろうか。 また来る気満々の男を漸く店から追い出し、背後から「二度とくんな!」と威嚇だけはしておいたけど、効果があるとは思えなかった。 「はー……」 深く息を吐き出す音が聞こえて、振り向くと慎さんがソファに座ったまま、若干前屈みになって項垂れている。 「慎さん、大丈夫ですか」 「ああ……うん。大丈夫……です」 ほんの僅かに、頷いたように頭が上下に揺れたけどずっと下を向いたままだった。
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