あなたに、触れたい

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余程疲れたのか、それともまだ具合が悪いのか。 「……平気ですか。なんか水でも」 「いい」 水でも飲んだらすっきりするかと思ったけれど、気力もないのかゆるゆると首を振る。 他に何かできることはないだろうか、とじっとその様子を窺っていて、気が付いた。 大腿のすぐ脇のソファに置かれた慎さんの手が、微かに震えていることに。 怖かったんだろう。 そりゃ、当然だ。 だって、女の人なんだから。 腕や手に残る感触が多分間違いないと脳内で訴えている。 抱きつかれた時に、僅かにだけど確かに感じた。 ふにゃ、という何とも言えない柔らかさ。 それに抱き上げた時も、とても男とは思えない身体だった。 痩せていても男の筋肉の硬い感触と、女とでは全く違う。
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