あなたに、触れたい

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いや、だけど。 と、佑さんの言葉を思い出して、気を取り直し笑顔を取り繕う。 「えっと……大丈夫、ですか」 「え?」 「手が、震えてるから……怖かったんだろうな、と思っただけで」 自分の手を眺めて、「はは……なさけない」と力ない声を落とす彼……いや彼女から、少し距離を置くようにしゃがんだまま後ずさる。 「いや怖くて当たり前っすよ! 俺のことも、もし怖かったらこれ以上、近寄りません」 そうだ、最初からずっと言われていたじゃないか。 ”蚤の心臓なんだよ” ”怖がらせるな、傷つけるな” あれは全部、決して嘘ではなかったんだ。 性別を伏せなければいけなかったから敢えて「彼女が恐怖を覚える何か」を言わなかっただけで。
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