あなたに、触れたい

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慎さんのことを好きになった、と浩平には既に話してある。 てっきり阿保かと笑い捨てられるかと思ったのに、思わぬ真剣な表情で「やめとけよ」と反対されたのは記憶に新しい。 慎さんに頼まれて、浩平に携帯番号は伝えて置いたけど……折り返しかけたのかどうかは敢えて聞いてない。 席を立っていた女性陣が戻ってきて店を出たところで、何か言いたげな浩平は無視して二次会には行かないと先手を打って宣言した。 久々に結構飲んだ。 けど、酩酊するほどでもなくほろ酔い気分だ。 本当ならこのまま慎さんの店に顔を出したいところだけど、あそこは月曜日が定休日なのだ。 休みの前日は必ず会いに行っていたものだから、酷く寂しさを感じるが……休みなのだから仕方ない。 駅へと足を向けた時、背後から声がかかった。 「陽介くん!」
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