あなたに、触れたい

33/35
前へ
/35ページ
次へ
もしかして俺と同じように気付いたのか、と思ったけれど……あのオッサンと慎さんの間でどんなやりとりがあったのか、わからないから何とも言えない。 ……ってか、バレたら狙われる可能性はなくなるから心配ないのか、逆に? 変にあちこち言いふらされたら困るだろうけど、そんなことをしたってなんのメリットもないはずだ。 悶々と悩んでいると、「なんだよ」と訝しい声をかけられ顔を上げる。 「なんか他に、気になってることでもあんのか」 「いや……えー……っと」 ありますとも。 慎さんの本当の性別だとか、それがあのオッサンにばれたかもしれないけどそれがいいのか悪いのか、とか。 ……性別を偽る、事情とか。 佑さんは……知ってるよな? 当然知ってるはずだ、元とはいえ義理の兄なら。 一度は家族、親戚になったってことなんだから、知らない方がおかしい。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加