474人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、お前は。気付いてどうすんの」
「知らないフリしときます。慎さんが話してくれるまで」
そう言うと、佑さんがいつになく優しい表情で口元を緩めた。
まるで「それでいい」と褒められているような気がして、むすっとして目を逸らす。
その微妙に子供扱いな空気が、腹立つような照れくさいような複雑な心境だった。
「いいんすか、そんなあっさり認めちゃって。秘密じゃなかったんすか」
「いいんだよ。お前は多分、優しい奴だと思ってた」
「……」
そんな風に言われたのは初めてで、流石に気恥ずかしくなって顔が熱い。
「これでも職業柄、人を見る目はあるつもりだからな」と続けて佑さんが笑った。
最初のコメントを投稿しよう!