あなたに、触れたい

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振り返るまでもなく、すっと隣に並んだのは長い髪をサイドで緩くアップにした小柄な女の子だ。 さっきの店で隣に座ってた子だった。 「あれ。どうしたの、ダーツバー行かないの?」 「だって、陽介くん行かないっていうから」 俺が行かないっていうから。 気を引くようなセリフで多少の計算があってのことだと、俺だって馬鹿じゃないからすぐわかる。 けど、男はやっぱ馬鹿だから言われて悪い気もしないわけで、女の方も多少は見透かされてるとわかってて、それでもこれもきっかけの一つと言わんばかりに、するりと腕に手が絡んだ。 「それに、あんまり人が多いの、ホントは好きじゃないのよね」 ね。 と小首をかしげて笑う、その表情はすごく可愛い、と、思う。
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