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割と洒落た作りのアーチがあるアパートの前で、彼女が振り向いて小さく会釈した。
「ほんとにすみません、こんなとこまで送ってもらって」
「いや、大丈夫。まるきり反対方向でもなかったし」
「そうなんですか?」
「ん、まあ」
途中下車はしたけれど、全く別の沿線でもなかったからそれほど手間でもなかったのは本当だ。
「……ありがとう。お店出る時、もう少し話したいなって思ってたから、良かった」
と、表情を緩ませて改めて礼を言われると、なんだか逆に気恥ずかしくもなる。
……ほんと、結構いい子なんだよな。
なのに、ほんとなんでなんだろう。
別れを済ませてまた駅までの道を歩きながら、ずっと考えていた。
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