月と太陽

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「おーい。慎!」 だんだんだん! といつもより強めのノックと佑さんの声がする。 ノックというかこれはもう、扉をどついているレベルだ。 「ちょっと出てこいって」 「はあ? なんでだよ僕はもうひと眠りする!」 なんで出てかなきゃいけないんだ。 まだあの変態が店に居るに決まってるのに! あの野郎、男の指にキスするとか本気で変態になるつもりか。 しかも、あんな、嬉しそうな顔しやがって。 思い出しただけで気分が悪くなるくらいに心臓がばくばくする。 なんだかそれが居たたまれなくて落ち着かなくて、本当にいっそ眠ってしまおうと布団を被ろうとしたら。 「いいから早く出てこい」 だん! と最後に一際強いノックが一つ、有無を言わさず鳴った。
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