月と太陽

3/25
前へ
/25ページ
次へ
「で……なんでこうなるんだよ」 佑さんの問答無用なノックの後、観念して身支度を整えて部屋を出た僕は、その三十分後には寒空の中外出させられ、街を歩く羽目になった。 くそ、出るんじゃなかった! やっぱり閉じこもってれば良かった。 隣には、此方がいくら早歩きしても悠々と追いついてくる陽介さんがいる。 「良かったですね、お休みもらえて」 「全然良くないです。たかが貧血で……もう大丈夫だと言ったのに」 「あ、あんまり急いで歩かない方が……どっかで休みますか」 「もう鉄剤も飲んだから大丈夫なんですって」 まるで腫れものに触るような気の遣い方につい苛ついてしまう。 心配してくれているのは、よーくわかっているのだが。 「大体、陽介さん。貴方、佑さんの言うことなんでも真に受け過ぎなんです」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

475人が本棚に入れています
本棚に追加