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「で……なんでこうなるんだよ」
佑さんの問答無用なノックの後、観念して身支度を整えて部屋を出た僕は、その三十分後には寒空の中外出させられ、街を歩く羽目になった。
くそ、出るんじゃなかった!
やっぱり閉じこもってれば良かった。
隣には、此方がいくら早歩きしても悠々と追いついてくる陽介さんがいる。
「良かったですね、お休みもらえて」
「全然良くないです。たかが貧血で……もう大丈夫だと言ったのに」
「あ、あんまり急いで歩かない方が……どっかで休みますか」
「もう鉄剤も飲んだから大丈夫なんですって」
まるで腫れものに触るような気の遣い方につい苛ついてしまう。
心配してくれているのは、よーくわかっているのだが。
「大体、陽介さん。貴方、佑さんの言うことなんでも真に受け過ぎなんです」
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