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突然張り上げられた声に、視線が集中する。
その中で、陽介さんが立ちあがり、勢い余ってスツールが倒れた音がした。
公園で別れて以来、初めて真っすぐ陽介さんの顔を見た気がする。
喉元を見たり少し視線をずらして、目を合わせるのを避けていたから。
てっきり、しょ気た顔かバツの悪そうな顔でもしているだろうと想像していたが、彼は少し、怒っていた。
僕の態度が悪いのが気に食わないのだろう。
罵られたら、なんて言い返してやろうか考えてたのに。
「俺は、慎さんが好きだって言いました!」
突如口から飛び出したセリフに、呆気にとられて手の中のダスターを取り落とした。
「ちょっ、陽介さん……」
「拒否されててもわかってはくれてるものと思ってました! もっと口に出した方がいいっすか、もっと態度で示さないとわからないですか」
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