月と太陽-2

18/25
前へ
/25ページ
次へ
……男も女も関係なく ……慎さんが好きです まっすぐな、この人の言葉だから。 決して嘘はないんだろう。 それなのに、僕はその気持ちそのものをなかったことにしようとした。 「……すみませんでした」 「えっ?」 「陽介さんの気持ちを、疑ったことです。すみませんでした」 声に出すと、一層熱くなってじっとりと首筋に汗が滲む。 素直になるというのは、百メートルを全力疾走するくらい急激に体力を消耗するらしい。 「ま、慎さん……!」 「受け入れたわけじゃないですよ!し、信じただけですから!」 貴方の気持ちを。 そう付け足した僕に、陽介さんはそれはそれは嬉しそうに「十分です」と笑った。 太陽みたいだと、思った。 こんなにも身体も顔も熱いのは、きっと太陽に当てられているせいに違いない。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加