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「陽介は、馬鹿だけどめちゃくちゃいい奴です」
突然、僅かな時間も惜しむように切り出されたのは、陽介さんが戻るまでに言いたいことを言ってしまいたかったのだろう。
「そうですね。それはよく、わかります」
「応えるつもりもないなら、さっさと振ってやってください」
「僕は、ちゃんと断ってるつもりですが」
それでもお構いなしに纏わりついて来るのが、彼であって。
浩平さんの主張は、少々お門違いではないだろうかと鼻白む。
「慎さんと知り合ってから、あいつ急に付き合いも悪くなったんです。仲間内の飲み会にも来なくなって」
「……そうなんですか」
まるでとぼけたような相槌になってしまったが、思えば確かにそうだろう。
彼は週末の殆ど、それだけでなく平日でもちょくちょくこの店に顔を出していて、仕事と睡眠以外のかなりの時間をここで費やしているようには感じていた。
ともすれば、睡眠の時間さえ。
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