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この、微妙な空気の理由がよくわからないが、仕方ない。
このまま二人が話をするようなら、僕は立ち去るべきだろう。
「昨日? ってなんだよ」
「とぼけんなよ」
僕にはわからない会話を続ける二人に声をかけようと、陽介さんの肩を叩こうとした。
その手が、止まる。
「昨日、合コンの途中でアカリちゃんと抜けただろ。上手くやったのかと思ってさあ」
それはもう、面白いくらいに。
びくん、と自分の手が震えたのが、目に見えた。
「は? 何言ってんだよお前……別に抜けたわけじゃ」
「抜けただろ、あの後俺らはダーツバーに行くっつったのに」
「確かにそうだけど別にアカリちゃんと二人で抜けたわけじゃ……」
訝しい声で会話を続けていた陽介さんが、はっと何かに気付いたように振り向いて僕を見る。
それがまるで「マズい」と言ってるような気がして、その瞬間胸が焼け付くような、抑えきれない不快感が湧いて出た。
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