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「ただいま。佑さん、開店準備出来てる?」
「あれ? 帰って来たのか。陽介は?」
「そこの公園で別れた。浩平さんと会ったから」
時計を見れば、六時十分前。
まあ、祝日とはいえ週の中日だ、それほど客も来ないだろうから焦ることもない。
カウンターの中で手を洗ってから、流し台に常備してある手指用のアルコールで消毒をする。
ざっとカウンターの中をチェックする。
佑さんの仕事は早いけど、結構粗い。
グラスとかきちんと磨けているか、後でチェックし直そう。
それから。
レモンとライムを貯蔵庫から取って来なければいけなかったかも。
それから。
「……お前、どした?」
「何が」
「いや……めちゃくちゃ不機嫌な顔してるから」
「そう? ちょっと疲れたかも」
僕の表情を読もうとする佑さんの視線から、逃れるようにして背を向けると「着替えてくる」と言って、自室の方へ逃げ込んだ。
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