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仕事着に着替え身支度を整え、すぐに店に戻ると、案の定、だ。
「慎さん!」
追いかけて戻ってきている気がしていたけれど、丁度店に入ってきたところだったらしい。
酷く焦った顔の陽介さんと、浩平さんも一緒にカウンター間近で立っていた。
佑さんが、状況を理解しかねて首を傾げている。
「あれ、いらっしゃいませ。来てくださったんですか」
何も、狼狽えることはない。
そう自分に言い聞かせるように、バーテンダーの笑顔を貼りつける。
「だって、さっさと帰っちゃうから……」
「店があるから、と言ったじゃないですか。来てくださってありがとうございます。夕食の時間ですが、あまりしっかりした料理はうちでは出ませんけど良いんですか?」
浩平さんと陽介さんを交互に見ながら、二人の間近にあるスツールの前に、オシボリを置いた。
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