触れてはならない、禁断の果実

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「わかった……わかったからちょっと……」 「全然わかってません。慎さんが好きなのに……他の女の子に流されたりしません」 あんなに、ただ無性に顔が見たくなるなんて今までなかった。 結局朝も早うから目が覚めて、思いがけず慎さんの秘密を知ることになったけど、そんなこと知らなくたって会いたくて仕方なかった。 今日一日、一緒に居られて幸せだった。 「だから、無視しないでください」 ようやく頭に上っていた血がゆるゆると落ちていって、語尾も力なく落ちる。 慎さんが困ったように眉尻を下げていた。 「無視なんか」 「してるじゃないっすか……言い訳すら聞こうとしないし」 「それは、別に」 ああ、やばいかっこ悪い。 これじゃまるで、駄々をこねる子供のようだ。
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