触れてはならない、禁断の果実

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―――――――――――――――― ――――― あれから、半月程。 今夜のbarプレジスは賑やかだ。 カウンターが俺の特等席だが、今は一番奥のテーブル席にいる。 なぜなら今夜は、ものすごく不本意ながら……一人ではないからだ。 「こんな素敵なバーがあるなんて、浩平ったら全然教えてくれなくて」 「本当、こんなお洒落なバー、初めて来ました……なんかそわそわしちゃう」 浩平の大学の頃の女友達、ミキちゃんと、その隣で、ほんのり頬を染めて小さな身体をさらに縮こませてモジモジしているアカリちゃん。 そして俺の隣で若干白けた表情の浩平の四人という、俺としては何とも複雑な面子での来店だった。 「ありがとうございます。ここは女性のお客様も良くいらっしゃいますよ。気楽に楽しんでくださいね」 こんな状況にも拘らず、慎さんは今日も変わらず妖艶な微笑を浮かべ、ピンと伸びた綺麗な姿勢で立っている。
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