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「は? いや、まさか……そんな」
ぽかん、とした表情の慎さんと顔を見合わせる。
恐らくは今、脳内で似たような絡みを想像しているのではないだろうか。
次の瞬間、血の気が引いた青い顔色で思いっきり口と鼻を歪ませた。
「……んなわけないでしょう。変なもの想像させないでください」
「すんません……俺も鳥肌立った……」
おえっ。
オッサン二人の絡みなんか。
当然美しいわけがない。
当の佑さんは流し台で洗い物をしていて、こちらの話は全く聞こえていないようだが、もしも聞いていたら面白がって悪ふざけを考えたに違いない。
「…っと、とにかく。戻ってきますから。閉店までには」
「そんな、無理をしなくても」
「無理じゃなくて、俺がそうしたいだけですから!」
そうと決まれば、早く行かなければ。
出来れば終電があるうちに戻って来たいところだ。
急いで背を向けた一瞬、複雑な表情を浮かべながらもほんの少し、嬉しそうに見えたのは……希望的観測が過ぎるだろうか。
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