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俺の内心は筒抜けだったらしく、それでも今も逸る足は止まらなくて、バツが悪くて頭を掻いた。
背後からくすくすと笑い声がついて来る。
「そっかぁ。陽介くんって情熱的だねえ」
「馬鹿にしてるだろ」
「してないよ。ねえ、ホントに付き合ってないの?」
「ないって」
付き合いたいけどな!
まるで尋問されてるような気がして、居心地が悪くてひたすら前だけを向いて歩いた。
あと少しで解放される。
もう少しで、彼女の家だ。
「こんな夜中に、会いに行くことはできるのに?」
「そういう環境の人なんだよ」
自分でも呆れるくらいにおざなりな返事で、さすがに彼女も気を悪くしただろうか、と思ったが。
そうでもない、と知るのは彼女の家の真ん前まできた時だった。
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