触れてはならない、禁断の果実

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しかも、よりにもよって慎さんが出して来た話題はそれこそ今俺が触れたくない昨夜の合コンの話で、もう、なんか、この人は無意識に俺に鈍器を振り回しているようなものだと思う。 「良かったですよ、女の子も可愛かったし。なあ」 「俺は行きたくて行ったわけじゃ」 やっぱり余計なことしか言わない浩平に殺意を抱きつつ、それでもこの話題が出たのならきちんと昨夜の状況を説明するチャンスだと、思い直す。 だが、一緒に話しているようで、慎さんが余り俺に視線を向けないことに気が付いた。 見ているようで、見ていない。 目線が合わない。 気付いてしまったら、嫌な予感に鼓動が跳ねた。 もしかして、なんとも思われてないどころか。 節操無しだとか、軽蔑されたのだろうか。
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