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どくどくどくと早鐘を打つ鼓動に焦燥感も煽られる。
「アカリちゃんって子が明らかに陽介狙いだったんで、送ってやれって二人きりにさせてみたんすけどね」
「だから俺は」
焦って説明しようとする俺の言葉に被せるようにして、慎さんが言った。
「恥ずかしがることないじゃないですか。陽介さんにも春が来たんですね」
「……」
ぷつん。
と何かが切れた音が頭の中でした気がする。
目の前には、慎さんがいれてくれたシャンディガフ。
薄黄色の透明な液体で埋められたグラスの中、きらきらと小さな粒のような泡がくるくる昇るのを見乍ら、苛立ちを抑えようとしたけれど。
我慢できずに、グラスを掴みひと息に飲み干した。
冷えた液体が身体の中心を通ったけれど、頭は冷えてくれなかった。
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