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春が来た、って何。
俺はずっと春だけど。
慎さんと出会ってから、頭ン中ずっと春爛漫だけど?!
なんで今更他の女と春を迎えなきゃならないんだ。
好きだって言ったのに、なんで信じてくれてないんだ。
だん!
と勢いよくグラスを置いた衝撃で、会話を続けていた二人の声がぴたりと止まった。
「陽介さん?」
「俺は!」
椅子から立ち上がり張り上げた声に、慎さんが目を見張る。
今漸く、ずっと逸らされたままだった視線が合った。
「俺は、慎さんが好きだって言いました!」
信じてもらえない苛立ちそのまま言葉をぶつけてしまったけど、それでいいやと抑止は全く働かない。
驚いた慎さんの手から、ダスターがぽとりと落ちた。
「ちょっ、陽介さん……」
「拒否されててもわかってはくれてるものと思ってました! もっと口に出した方がいいっすか、もっと態度で示さないとわからないですか」
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