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「潰されたくなかったら早く出てってください、今は口も利きたくない」
「まぁ、そう怒るなって。ちょっと発破かけてやろうって思っただけだろー」
笑ってごまかそうとするな。
丸椅子を掲げたまま黙って見下ろしていると、佑さんはひくっと頬をひきつらせ距離をとる。
「えーっ……と、後片付けは?」
「僕がやっておきます」
「じゃ……お言葉に甘えて帰るカナー……」
大きな障害物を避けるように、壁伝いに横歩きしてカウンターから逃げ出した佑さんは、漸く椅子を降ろした僕に、機嫌を取りたいのか揶揄いたいのかわからない言葉を投げた。
「陽介早く戻ってくるといいネ」
「うっさい、早く帰れクソオヤジ!!」
再び声を荒げた僕に肩を竦めると、慌てて店を出て行った。
戻ってくると言ったんだから。
陽介さんは戻ってくるに決まってるだろう。
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