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突然、それまで遠慮がちだった手が明確な目的を持った動きで、僕の後頭部に回る。
頭から首筋までを指先が辿った拍子に、くんっと顔が上向いた。
いや、上向かされた。
それがまるで流れるような無駄のない動きだったため、僕は少々混乱した。
どういうことだ。
慣れ過ぎだろう。
だけど、目が合った陽介さんの顔は酷く焦っても見えて、何が本当なのかわからなくなる。
「こ、怖くなかったら。目、瞑ってください」
……ちょっと待て。
瞑ったら何する気だ。
それがわからないはずがなかった。
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