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疲れてないですか、と気遣われながらたどり着いた駅は別の沿線のものだった。
そこから電車で二駅だったと思う。
降りた駅のある町は至って普通の住宅街だった。
時刻は夕方四時になろうというところで、随分長い間歩いていたのだと驚かされた。
「次はどこに?」
「んー、もうちょい、です」
五分程歩いたところで、陽介さんの足が止まる。
手を繋いでいたためほぼ同時に僕も止まった。
彼が目の前の、五階建てのマンションを指差した。
「ここ、俺んちです」
「え」
「こっちこっち」
まさか、陽介さんの家に連れて来られるとは思っていなくて一瞬身構えるも、ぐいぐいと手を引かれてエントランスに入る。
並んだ郵便受けの一つに「高見」と書かれているのを見つけた。
「ここです、この部屋」
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