469人が本棚に入れています
本棚に追加
「ってかどういうことだよ。女ってマジで?」
「そうだよ、女の子! 髪型がちょっと変わって雰囲気が違ってたから、最初わかんなかったけど……高校の時から男の子っぽくて女子に人気あったんだよ。
でも、あそこまで徹底して男ーって感じじゃなかったけどなあ」
店から駅に向かう途中、興奮して話す二人の前を早足で歩く。
ちらりとも振り向かない俺を気にしてか、翔子がおずおずと声をかけて来た。
「……ねえ。もしかして彼女、男として働いてたの?」
「そうだよ。知ってんのは佑さんと俺だけ。俺は、知らないフリだけしてた」
「やだ、どうしよう。私謝らなきゃ」
「なんて謝るんだよ、他に客もいんのに」
いや、それに。
謝んなきゃいけないのは俺だ。
最後に見た、慎さんの表情が、目の前をちらついて離れない。
「やべえ……俺、知らないで酷いこと言った……」
「……何?」
浩平の言葉に、足を止めて振り向いた。
最初のコメントを投稿しよう!