僕と、勝負してください

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あと……、そう、あと。 すげく、大事なこと。 「本当は、すごく、優しいトコ。客相手に話してる時は勿論だけど、特に俺に帰れとか悪態付いてる時も、本当は俺の身体を気遣ってくれてたり、とか。    そういうとこ、素直に出せないとこも、好きです」 やべ。 頭、重い。 働かない。 思い出さなきゃ、慎さんの可愛いトコ全部。 「最初は、顔とか、仕草とか……話し方とか、慎さんの纏う雰囲気に惹かれて……でも知れば知るほど、可愛いくて、好きになって、良かったと、ほんとに」 視界が真っ暗になって、うっかり瞼を閉じてしまっていたことに気付く。 だめだ、開けてもなんか、もう斜めになってる、視界が。 「どんな顔も、好きだけど、泣いてほしく、ないなあと、思う」 慎さんは、モヒート全部、飲んだだろうか。 しっかりしないと、そろそろ次の酒が。 でも、やばい眠い。 そういや、あんまり寝れなかったし。 隣を見ると、慎さんが何か言ってるけど、随分遠い声で良く聞こえない。 表情もよく捉えられなくて、確かめたくて手を伸ばした。 「まこと、さん」 指が触れた先が、あったかくて柔かくて、濡れていた。 なんで、泣いてるんすか。 全部、教えて欲しい。 声に出して、ちゃんと聞きたかったのに そこで、バツッと、意識はぶっ飛んでしまった。
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