僕と、勝負してください

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「ってかどういうことだよ。女ってマジで?」 「そうだよ、女の子! 髪型がちょっと変わって雰囲気が違ってたから、最初わかんなかったけど……高校の時から男の子っぽくて女子に人気あったんだよ。    でも、あそこまで徹底して男ーって感じじゃなかったけどなあ」 店から駅に向かう途中、興奮して話す二人の前を早足で歩く。 ちらりとも振り向かない俺を気にしてか、翔子がおずおずと声をかけて来た。 「……ねえ。もしかして彼女、男として働いてたの?」 「そうだよ。知ってんのは佑さんと俺だけ。俺は、知らないフリだけしてた」 「やだ、どうしよう。私謝らなきゃ」 「なんて謝るんだよ、他に客もいんのに」 いや、それに。 謝んなきゃいけないのは俺だ。 最後に見た、慎さんの表情が、目の前をちらついて離れない。 「やべえ……俺、知らないで酷いこと言った……」 「……何?」 浩平の言葉に、足を止めて振り向いた。
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