僕と、勝負してください

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翔子とは、別れと同時に会社を辞めてった時から一度も会ってはいなかったが、同期の中で共通の友人も何人かいる。 その中の何人かとは連絡取ったり遊んだりしていることは聞いてたから、元気に頑張ってるらしいっていうのは知ってた。 直接本人から連絡があったのは、一週間くらい前のことだ。 どちらかというと友達の延長上で付き合ったようなところがあった俺たちだから、別れた後もほとぼり覚めれば友達に戻るもんなのかもしれないな、と頭の何処かで思っていた。 電話越しの泣き声をほっとけなかったのも、本当に友人としての情でしかない。 それは、間違いなく断言できるけれど。 『貴方は、こっちが辟易するくらい優しい人で、そんなところを僕は嫌いじゃありません。僕に遠慮して、失くすことはないです』 慎さんが言ってくれた言葉は、感動するくらい嬉しくて 同時に、それと同等くらいの罪悪感を抱かされる。 彼女の言葉は決して嘘ではないけれど 本音でもないのだということが、すぐにわかってしまった。
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