僕と、勝負してください

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今大事な人と居るのに、電話なんて出るわけないと思ったけれど どうしても目の前で出てくれと言わんばかりで、それが全部綺麗ごとじゃないことくらい、わかる。 でもどうすりゃいいのかが、さっぱりわからない。 電話に出たことが、正しかったのかどうなのか。 宥めたり安心させたり、もっと上手くやれる奴はやれるんだろうけど。 「終わりました。……心配させてすみません」 「いや……別に、心配とか」 「……わかんないすね、こういう時どうするのがいいとか」 覗き込むと、むすっとしてまだどこか拗ねた表情で、やっぱり面白くなかったんだと伝わってくる。 すんません、それでも俺。 拗ねてくれたことが、嬉しいです。 ちゅ、と不意打ちで、キスをしてしまえば 慎さんが恨めしそうに眉根を寄せた。
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