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正直言うと、俺は少し期待した。
―――話したいことが、あります
もうそろそろ、彼女の方から話してくれるんじゃないかって。
慎さんから感じる好意は、気のせいじゃないだろう。
そう思ってもいいよな?
いいだろ?
なんだかんだ、大人しく手を繋がれてたり
恥ずかしそうに頬を染めたり
ヤキモチ妬いたり
彼女の表情全部が、「そう」だと言ってる気がするのに声では聞けない。
本当は早く聞きたい。
確かめたい。
だけど結局、この日最後までその話は出なかった。
彼女を送り届けて、佑さんに一杯だけ酒を奢ってもらって、その帰り道。
晴れた夜空に、白い息が上って消えた。
「……せめて、気持ちだけでも」
焦がれて焦がれて、苦しいくらいに、貴女で頭がいっぱいです。
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