僕と、勝負してください

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彼女がどうして男に成りすましてるのか。 その理由を推し量れば、何か「男」にトラウマでも抱えてるのかそれとも逆に「女」にトラウマがあるのか。 どちらにせよ、とても軽い事情だとは思えなくて簡単に此方からは踏み込めない。 何か怖い経験をしたのだろうか。 真っ先に思い浮かぶ可能性は多分誰しも同じだろう。 想像でしかないけれど、まさかと思う度に軋むほどに強く奥歯を噛みしめてしまう。 「そう簡単には、話せないんだろうなー……」 「何が」 「別に」 浩平に聞いたところで、答えがあるわけじゃなし、詳しくを話せるわけじゃなし。 仕事上がり、久々に浩平と飯でも行くかという話になって、会社を出たところだった。 「陽ちゃん! 浩平くん!」 「げ」 一番ややこしいのに、待ち伏せされていた。
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