僕と、勝負してください

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「やっぱ、浩平くん知ってるんじゃない! 誰々? 会社の子?」 「っつか、お前、俺のことに首突っ込むより真田さんと仲直りしろよ!」 「したよー、陽ちゃんに言われた次の日にちゃんと! えへへ」 「だったらデートでもして来い」 翔子の恋愛観は、若干一般からはずれている。 友達として楽しい奴だったし、人の陰口悪口は絶対言わない裏表のないところが好きだった。 反面、かなり自由奔放なところがあり、それに気づいたのは付き合ってからだ。 人を悪く言わないイコール、他人にも自分にも、どこまでもおおらかな人間だった。 「今日は接待でいないんだもん。ねえねえ、どっか飲みに行かない?」 「行かない。浩平、悪い。今日無しにしよう」 「あー……わかった」 このまま浩平と飲みに行ったのでは、絶対、もれなく翔子がついて来る。 浩平もそれは理解してくれたのか、そのことには頷いてくれたのだが。 「悪い、ソレ頼むな」 「は?!」 「絶対バラすなよ!」 「ちょっ! ソレとか酷くない?!」 キィー!という翔子の金切り声と重なって、浩平の「ふざけんなよ!」という声も背中で聞きながら、全速力で逃げ出した。 仕方ない、これは仕方ない。 あいつ、言い出したら本当に聞かねーんだから。
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