469人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ、浩平くん知ってるんじゃない! 誰々? 会社の子?」
「っつか、お前、俺のことに首突っ込むより真田さんと仲直りしろよ!」
「したよー、陽ちゃんに言われた次の日にちゃんと! えへへ」
「だったらデートでもして来い」
翔子の恋愛観は、若干一般からはずれている。
友達として楽しい奴だったし、人の陰口悪口は絶対言わない裏表のないところが好きだった。
反面、かなり自由奔放なところがあり、それに気づいたのは付き合ってからだ。
人を悪く言わないイコール、他人にも自分にも、どこまでもおおらかな人間だった。
「今日は接待でいないんだもん。ねえねえ、どっか飲みに行かない?」
「行かない。浩平、悪い。今日無しにしよう」
「あー……わかった」
このまま浩平と飲みに行ったのでは、絶対、もれなく翔子がついて来る。
浩平もそれは理解してくれたのか、そのことには頷いてくれたのだが。
「悪い、ソレ頼むな」
「は?!」
「絶対バラすなよ!」
「ちょっ! ソレとか酷くない?!」
キィー!という翔子の金切り声と重なって、浩平の「ふざけんなよ!」という声も背中で聞きながら、全速力で逃げ出した。
仕方ない、これは仕方ない。
あいつ、言い出したら本当に聞かねーんだから。
最初のコメントを投稿しよう!