溢れる気持ちの受け止め方が、僕にはわからない

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ボロボロの姿で家に駆け込んで、改めて自分の身体を見ればカットソーの襟口は破れて、あちこち擦り傷があるらしくて、体中がひりひりした。 今まで、誰にも触れられたことがなかった場所も。 こんな姿を家族に見られるのは嫌だったけれど、それでも迷わず家に駆けこんだのは誰もいないはずだったから。 前の日に年の離れた姉が出産して、姪っ子が生まれたばかりで。 とても可愛かった。 出張でその夜帰ってきた父を連れて母と佑さんも、一緒に病院に行ってるはずだった。 入院手続きに必要だった書類を忘れて、姉にこっぴどく怒られて取りに帰って来ていた佑さんは。 拳を震わせて、見たこともないくらい怖い顔で、私の為に湯船にお湯を張ってくれた。 私が何も話さなかったから、行きずりの誰かにやられたのかと闇雲に走り回ってくれたようだけど、やっぱり私は何も言えなかった。 私のせいで、幸せな家族の顔が曇るのが、怖かった。 隣の幼馴染の家とも、仲が良かったから。 私さえ黙れば、全て丸く、収まったのだ。 だから佑さんにも、誰にも言わないでと頼んだ。 それで良かったのだ。 事実、何事もなく、丸く、日々は流れたのだから。 だけど、窓から見えるのだ。 私が部屋に閉じこもって、心配する家族に体調が悪いと嘘を吐き続ける中。 幼馴染は、毎朝いつも通りに、学校へ行く。 彼女を連れて、家に戻ってくる。 私が悪いのだから、私が閉じこもって耐えるのは仕方ない。 だけど、許せなかった、どうしても。 悔しくて仕方がなかった。 だから。 ”僕”は。
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