溢れる気持ちの受け止め方が、僕にはわからない

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棚の端にある酒から順番に指定していって、何杯目だろう。 僕ももう、数えるのが面倒になってきたけど……よく考えたらこれ、後で給料から差っ引かれるんだろうな……。 飲み比べを言い出したのは僕だから、陽介さんに持たせるわけにはいかないし。 「マッカラン、ダブルで」 三回に分けて、リズムで煽る。 胃に全部流し込んでふと隣を見ると、陽介さんの手が止まっていた。 「ど……どんだけ……」 「大丈夫ですか?」 もう、そろそろ限界だろうか。 さっきまでは軽口を叩いていたのに、急に声に余裕がなくなった。 「大丈夫、っす」 と言って、ぎゅっと目を瞑って彼がグラスを空にして、ぐらりぐらりと頭を揺らしながら、モヒートを指定する。
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