溢れる気持ちの受け止め方が、僕にはわからない

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こんな話題、振るんじゃなかったと若干……いや、かなり後悔していたけれど。 「ん……それから」 と、彼の声のトーンが、また変わった。 「本当は、すごく、優しいトコ。客相手に話してる時は勿論だけど、特に俺に帰れとか悪態付いてる時も、本当は俺の身体を気遣ってくれてたり、とか。    そういうとこ、素直に出せないとこも、好きです」 すごく、すごく優しい声で、酔いが回って目なんかもう焦点も合っていないのに。 くらくらと、頭を揺らしながら、笑う横顔に、釘付けになった。 なんて、嬉しそうに幸せそうに 僕の話をするんだろう。 「最初は、顔とか、仕草とか……話し方とか、慎さんの纏う雰囲気に惹かれて……でも知れば知るほど、可愛いくて、好きになって、良かったと、ほんとに」 前屈みになった顔が、テーブルに付きそうになって慌てて持上げる、そんな動作を何度か繰り返し。 閉じかけた目を無理矢理にこじ開け、懸命に言葉を繋ぐ。
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