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結局その日は、全く寝られないまま考え事ばかりをしていて。
朝、うとうとしかけた頃に携帯の着信音が鳴った。
いつもは携帯なんかほったらかしなのに、なんで僕は手に握っていたんだろう。
『話をさせてください』
そのメッセージに、緩んだ涙腺からまた涙が滲んでくるくらいほっとした。
冷たい態度を取ったのに、陽介さんの方から連絡してくれることに安心する。
思えば僕は、彼に自分の気持ちを伝えたことなどないし、いつも彼からぶつかってきてくれるから僕は受け身で居れば良かった。
そこから、僕は彼に甘えている。
どうして彼は黙ってたんだろう。
なんでもかんでもべらべらしゃべる彼が、なぜその事だけは隠し通してたんだろうか。
佑さんの言う通り本当に僕の為なんだろうか。
好きだと言って離れなかった彼の笑った顔は、信じていてもいいんだろうか。
返信しなければと、入力画面を指でタップしてそこで止まる。
迷った指が何度も文字を打っては消した。
僕も、彼に言わなければいけないことがある。
そう約束したままになってた。
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