彼女が試したかったもの

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急に跳ね起きたせいで、脳内に鉛でも入ってるみたいにぐわんぐわん揺れる。 痛いっつーか、只管、重い。 「おー、陽介起きたか」 水の音が止まった。 頭を片手で押さえながら顔を上げると、流し台で洗い物をしていたらしい佑さんが水のグラスを持って近づいてくるところだった。 店内をぐるっと見渡しても、慎さんの姿はどこにもない。 そのことで、全部悟った。 ああ、そうか。 負けたのか、俺。 「ほら、水」 「あざっす……」 「……えげつねえだろ、アレの飲みっぷり」 「……えげつねえっす」 途中からはあんまり覚えてないけど、最初からすげえハイピッチで、強い酒を涼しい顔で喉に流し込んでいく。 あの横顔は、空恐ろしい。
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