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水枕に氷と水を入れてタオルで巻いてから、寝室をそっと覗く。
カーテンが閉めてあるけれど、遮光はそれほど強くないのか外の陽射しで少し薄暗い程度だった。
「陽介さん?」
彼はちゃんとベッドに横になっていて、近づいて声をかけると薄く目を開ける。
やっぱり、さっきのは空元気だったのだ。
ベッドに入って気が抜けたのか、とろんと力のない目になっていた。
少し頭を上げさせて、首の下辺りに水枕を敷く。
その手をまた握られて、ぽそっと「遊園地、行きたかった」と呟くので思わず笑ってしまった。
いい大人が、これではまるで子供だ。
「いつでも行けるでしょう。仕事始めまでは、まだ間があるし」
「はい」
「疲れが溜まってたんです。だから休んでくださいといつもいつも……」
つい小言に移行しそうになったのだが、それを聞いている陽介さんが嬉しそうに笑いながら「すんません」というので、言葉が続かなくなってしまう。
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