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話してばかりいないでとにかく寝なさいと、もう何度言ったかわからないが埒が明かないので寝室を出て、リビングでどっと力が抜けた。
「……疲れる」
甘ったるい空気が、すごく疲れる。
ソファに腰を下ろして、身体を預けると深々と溜め息をつく。
心臓がばくばく忙しくて、苦しい。
心臓って、一生に打てる鼓動の回数が決まってるんじゃなかったか。
だとしたら絶対今寿命縮んだ。
なんだ、これ。
まるで僕が僕じゃないみたいで、気持ち悪い。
心配んなってなんも考えず飛んで来て、まずそこから恥ずかしい。
来たら来たで、余計なことをしたような気がして情けなくなって
嬉しそうな陽介さんを見て安心して
よくわかる。
自分の感情の全部が、陽介さんを中心にぐるぐるぐるぐる回っている。
ふと顔を上げた先で、真っ暗なテレビの画面に自分の顔が映っていることに気が付いて、ものすごく情けない顔をしている気がして両手で覆った。
こんなに自分が馬鹿になるなんて、思いもよらなかった。
恥ずかしくて、泣けてくる。
……くそ。
なんかもう、腹立つ、悔しい、なんだあいつ。
でも嬉しかった、すごく、嬉しかった。
―――俺にはちゃんと女の子だし、それで充分
彼の言葉に身体の中から意識の核から、作り替えられていくみたいだった。
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