だから言わんこっちゃない!!

27/27
477人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
話してばかりいないでとにかく寝なさいと、もう何度言ったかわからないが埒が明かないので寝室を出て、リビングでどっと力が抜けた。 「……疲れる」 甘ったるい空気が、すごく疲れる。 ソファに腰を下ろして、身体を預けると深々と溜め息をつく。 心臓がばくばく忙しくて、苦しい。 心臓って、一生に打てる鼓動の回数が決まってるんじゃなかったか。 だとしたら絶対今寿命縮んだ。 なんだ、これ。 まるで僕が僕じゃないみたいで、気持ち悪い。 心配んなってなんも考えず飛んで来て、まずそこから恥ずかしい。 来たら来たで、余計なことをしたような気がして情けなくなって 嬉しそうな陽介さんを見て安心して よくわかる。 自分の感情の全部が、陽介さんを中心にぐるぐるぐるぐる回っている。 ふと顔を上げた先で、真っ暗なテレビの画面に自分の顔が映っていることに気が付いて、ものすごく情けない顔をしている気がして両手で覆った。 こんなに自分が馬鹿になるなんて、思いもよらなかった。 恥ずかしくて、泣けてくる。 ……くそ。 なんかもう、腹立つ、悔しい、なんだあいつ。 でも嬉しかった、すごく、嬉しかった。 ―――俺にはちゃんと女の子だし、それで充分 彼の言葉に身体の中から意識の核から、作り替えられていくみたいだった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!