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ただでさえ、しょっちゅう店に来て大丈夫なのかと思っていたのに。
この頃の陽介さんは毎日来店し、毎日深夜遅くまで店に居て、僕は客がいれば相手をすることもできないのにそれでも居る。
休日前は当然の如く、閉店まで居て朝まで……つまり僕が部屋に戻るまで一緒に居たがって、最初は付き合うとはこういうものかとも思ったが。
これでは、陽介さんは寝る時間が殆ど取れてない。
寝れるときに寝てます、とかなんとか言っていたけれど、どうだか。
身体を壊しちゃ、元も子もないではないか。
今夜も一時間で帰れと言ったのに、結局終電を逃すまで、居た。
翔子さんが来た辺りから何かそわそわした視線が飛んで来るから、僕のことを気にしているのは伝わってきたけれども。
全く気にならないと言えば嘘になるけれど、気にしたって仕方がないし普通に接客するしか僕にはできない。
漸くラストの客が帰って、軽く伸びをしてから肩を回す。
「陽介待ってるだろ、後は片付けとくから部屋行ってやれば」
「いい。寝てるはずだし、片づけぐらいやる」
「どうだかなー……好きな女の部屋に居て寝れるほど無欲なタイプにも見えないけどなー……」
……だったら尚更ここにいる。
部屋に二人きりになって、そういう雰囲気になる勇気はない、まだ。
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