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「ちょっ、慎さん、そういうの、どきどきするんであんまり」
「水枕か氷嚢はあるんですか?」
「え? いや、冷えピタしてたんで……」
肩にかけていたトートバッグをテーブルに乗せて中から水枕を出しながら、ぴっと寝室だろう部屋の方角を指差した。
「水枕作って持って行きますから、寝てください」
「え、でも。ちょっとくらい、」
「水分摂ってます?」
「ポカリさっき一気飲みしました」
「わかりました。寝てください」
何度「寝てください」と言わせるんだ。
まだ何か話したそうにしていたけれど、しゅんと眉を八の字にしてようやく寝室に向かう。
それを確認してから水枕を持って流し台に近づくと、シンクの中に空になったスポーツドリンクの大きいペットボトルが二つ、転がっていた。
ちゃんと水分は摂れているらしくて、少し安心した。
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